うがい薬(洗口剤)の選び方

洗口液は何がいいか?

歯ブラシやデンタルフロスや歯間ブラシ、電動歯ブラシなど口腔ケアに関するグッズは大きな市場となっています。その中で、近年注目度が高まっている分野にデンタルリンスなどに代表する洗口液があります。この洗口液についてもよく質問をされることが多いです。

・どの洗口液がいいか?
・歯ブラシの前に使うべきか?
・歯磨きの後に行うといいか?
・洗口の後にうがいをすると効果が落ちるか?

などなど、世間での関心の高まりを反映して聞かれることも実に多岐に渡ります。

洗口液

なぜ洗口がしたいのか?

そもそも、なぜ薬液を使って洗口がしたいのでしょうか。確かに、水溶液だから隅々まで行き渡り、細部まで殺菌してくれそうな雰囲気があります。ただ、それであれば、既に唾液がその役割を24時間絶え間なくしてくれています。しかし、唾液が到達するものの残念ながら虫歯や歯肉炎などが発生してしまいます。むしろ、虫歯の穴は唾液が貯まるくらいなのですけれども、着実に虫歯は進行してゆきます。それでは、殺菌成分を配合すれば唾液よりも効果があるだろうと考えたものが洗口剤だと思われます。

歯垢(プラーク)の問題

水または水溶液によるうがいの洗浄効果の実験では、ごく初期に歯面に付着した結合力の弱い歯垢においては大まかには除去できるとされています。しかし、やや成熟した歯垢や複雑な部位に形成されたプラークにおいては、うがいによる洗浄効果は期待できないということがわかっています。それらを清掃するには水圧が足りないからでしょう。つまり、うがいや洗口によってプラークは除去できないということです。

歯肉溝(歯周ポケットも含む)の問題

歯ブラシの毛という扱い方がわかりやすいものでさえ、その先端を歯肉溝に入れることは困難です。さらに扱いにくい洗口液は、歯肉溝もしくは歯周ポケットに薬液が入るかどうかさえわかりにくく、日常のケアのメインにするには心許ないです。また、実際に研究の結果では、薬液が歯肉溝にはほとんど入らないということがわかっています。また、入ったとしても浅いところに微量が入るだけです。その量で殺菌効果を期待するのであれば、相当な濃度が必要になります。つまり、うがいでは歯周ポケットは洗浄できないと考えておいた方が無難であるということです。

薬効成分は有効か

ある実験において、生理食塩水(薬効なし)と3%過酸化水素水と0.2%クロルヘキシジンのポケットへの治療効果を比較したものがあります。それぞれを週3回、4週間治療を続けた結果、効果に違いがなかったことがわかっています。この実験と同様の結論を示唆する研究も多数報告されています。つまり、現段階においては薬液による殺菌効果は期待できないということです。効果がない理由は歯周炎の原因になっている細菌性プラークがバイオフィルム構造を取っているからです。このバイオフィルムに薬剤を浸透させ殺菌することは困難です。

また、2016年に米国食品医薬品局(FDA)が「トリクロサン」をはじめ19成分を配合した抗菌石鹸の販売を禁止しています。この19成分の中には薬液ハミガキにも含まれていたものもあります。この流れを受けて、日本でも厚生労働省が他の成分に切り替えを促進する措置を発表しています。なお、「トリクロサン」については米国の発表以前からEUでは使用禁止になっていました。

まとめ

プラークの除去には今のところ機械的な洗浄のみが有効のようです。またの機会に詳述したいと思いますが、同様の理由で薬液を併用した歯科医院での機械的な洗浄も効果がありません。
歯ブラシや歯科医院でのクリーニングでプラークを除去することが現在はもっとも効果的な方法です。