インプラント周囲炎について ~診断項目・後編~

プロービング測定位置

健康な歯肉の場合、プローブの先端は接合上皮様細胞の根尖側先端から0.2mmの範囲に留まります。これに対して、インプラントの場合はインプラント周囲炎が生じた部位では臨床的なプロービングデプスより1.2mm根尖側に組織学的な付着レベルが存在することが示されています。このことは、インプラント周囲の歯肉の健康状態が良好であれば軟組織による封鎖が確立されているけれども、一度インプラント周囲炎が生じるとプローブが歯槽骨頂まで到達してしまうという事です。この時、プロービング圧を大きくするとプローブの先端は上皮付着を貫通し、歯槽骨頂に到達すると抵抗を感じるようになります。インプラント周囲の歯肉が健康であれば軟組織接合部へのプローブの貫入は抵抗感が生じますけれども、インプラント周囲炎が生じているときは抵抗感が消失します。これらの特徴を有するため、インプラントに対するプロービングは周囲組織の長期経過観察を行う際に鋭敏なパラメーターとなり得ると考えられています。ですので、長期経過観察中におけるプロービングデプスの測定はインプラント支持の喪失・比較を確認できるということで強く推奨されています。

X線診断

通常、X線による評価は、インプラントの植立位置と解剖学的構造物や隣在歯との位置関係は撮影毎に変化してしまうため、補正するための適切な配慮が必要になります。例えば、パノラマX線では1:1.3、デンタルX線では位置関係に合わせて1:1.0~1:1.1の補正を行い、平行法とポジショニングディバイスの使用を必要とします。

X線診査

インプラントに限らず、天然歯においても歯槽骨頂の状態を評価する際にはX線が広く利用されてきました、しかし、X線は歯槽骨頂部の微細な形態変化を把握しきれません。そのため、その変化の大きさや形態が一定以上になるまでは判断が出来ないという面もあります。このことは、1977年の論文で既に知られていることです。さらに、1988年の調査では、従来法の所見に惑わされやすく初期病変やリモデリングによる形態変化を見落とす割合が小さくないといわれています。それでも、臨床的に長期経過を観察してゆく場合には、正しく撮影されたX線写真を用いてインプラントショルダー部から歯槽骨頂までの距離を測定することが最適だといわれています。

X線撮影は偽陽性となる確率は低く、インプラント周囲の骨吸収などの所見に対しては特異度が高いといえます。しかし、この特徴ゆえに後から確認するといった意味合いが大きくなり、早期発見という役割はそれほど大きくないということを認識しておく必要があります。また、X線上でみられる骨とインプラントの接触がオッセオインテグレーションを示す訳ではないので、骨結合の獲得の判別や喪失の判断には信じきらないようにする必要があります。

デジタルサブストラクションX線

デジタルX線は等倍のものがあり、それによって撮影されたものは比較することにより、歯槽骨の高さや密度に関する微細な変化の識別がしやすいといわれています。