エナメル質へのレジン接着

エナメル質への接着

エナメル質への接着は、矯正装置を装着する時や、歯質が欠けた時、虫歯の治療の際などに用いられます。エナメル質は97%がハイドロキシアパタイトを主成分とするリン酸カルシウム結晶からなっていて、接着機構を用いる際には酸を用いて処理することで比較的良好な接着を獲得出来ます。この処理のことをエッチングといいます。

エッチング処理で得られる効果
1,スミアー層の除去
2,投錨効果と機会的嵌合
3,極化性作用
4,ヌレの向上

コンポジットレジンのエナメル質に接着は、エッチングによって粗造かされた被着面にボンディング材が浸透・硬化して生じる投錨効果によるものです。エナメル質の構造はエナメル小柱と小柱間質から構成されていて、これらがエッチングによってエッチングパターンという微細な凹凸を形成します。この脱灰状態は深さ・部位・年齢・歯種によっても異なり、さらに切削部と未切削部とても効果に違いが生じます。

エナメル質接着

93930132 – 3d render of tooth with dental inlay filling in gums

エッチング効果

エッチング効果を左右するものには、酸の種類・濃度・作用時間などがあります。これまでにエッチングにはリン酸・クエン酸・マレイン酸・機能性モノマーなどが使われていましたけれども、リン酸が最もエッチング効果が高いことが知られています。エナメル質の脱灰効果は濃度依存的に向上することがわかっており、リン酸エッチング剤の濃度は30~40%のものが広く使われています。また、同じ濃度であれば作用時間が長い方が脱灰深さは増大する傾向にありますが、処理時間が極端に長くなると脱灰深さは深くなるものの表面粗さは小さくなってしまいます。

ただ、表面性状が粗であれば接着強度が増すということでもありません。コンポジットレジンの接着強さ試験によると、エッチングの延長による表面性状の変化は赤接着強さとは関係がみられず、臨床的なエッチング時間内での有意差は認められませんでした。

レジンの浸透

エッチングによって形成された微細な小孔へのレジン成分の浸透と硬化がエナメル質の接着機構です。したがって、臨床においてはレジンが浸透することを阻害する因子を出来るだけ除去することが重要なポイントとなります。エッチング剤の粘稠度を強めるために使用されているシリカ(または二酸化ケイ素)は、十分に水洗しなければエッチング面にシリカ粒子を残留させてしまいます。また、水洗が十分であったとしても、エアーシリンジ内に油成分が残っていれば接着にとって深刻な問題となります。

これ以外には、血液・歯肉溝滲出液・唾液なども接着阻害因子となり得ます。接着は、被接着体同士が分子レベルで限りなく近接して発言する現象であるため、不純物をいかに混入させないかが重要になってきます。