オッセオインテグレーションの組織反応

オッセオインテグレーションの反応

今回は、組織内に埋入されたオッセオインテグレーテッド・インプラントがどのような反応をしてゆくのかについてお話ししてゆきます。

歯科治療のトラブルの多くは、行なった直後に生じるものは少ないです。オッセオインテグレーションの反応を知っておくことで、治療を受ける際にどこまで配慮して治療してもらえるのかが分かってくると思います。また、見えない実力についても判断ができるようになるかもしれません。

例えば、インプラントのオッセオインテグレーションの程度を判断するために多用されている電磁石の加振を応用した機器があるのですが、その機器による審査にはばらつきが認められるためにインプラントの安定性の臨床判断に用いることは推奨されていなかったりします。

単純に骨に金属が埋まって、それを支えにしてご飯が食べられるというシンプルな面でも大変喜ばしいことです。ただ、身体の中に入れるものが自分の中でどうなるのかを知っておくことは、健康に関わる重要なことではないかと思います。

早期の組織反応

インプラントはその辺縁や先端が、十分な量の皮質骨や骨稜が存在する海綿骨によって固定されている場合に、好ましい安定性が得られると考えられています。これらの顎堤部分の骨は骨膜で覆われた皮質骨があり、中央部に海面骨や骨髄を包み込むように存在しています。また、顎堤部分の粘膜の多くは角化しています。

粘膜の切開から始まりインプラント体を埋入するまでの一連の外科的な術式では、その各ステップにおいて粘膜および骨組織への損傷という機械的な侵襲を残すことになります。

近年のインプラント埋入術式で最も行われている手技は「press fit様式」というもので、骨組織に形成したインプラント窩に対してわずかに大きな直径のインプラントを応用します。このことは、外科的な術式で受けた損傷の他に、圧入の際の皮質骨骨壁部分の脈管構造を崩壊させるような有害な現象が加わります。

インプラントに伴う外科手術によって生じた損傷は、その後に創傷治癒の過程に入ります。それはインプラントと骨組織の固着と粘膜の付着です。

インプラントの表面では新生骨の形成に先立ち、皮質骨部では血管に乏しく壊死した石灰化部分の吸収が始まります。また、海綿骨では線維性骨の形成とオッセオインテグレーションが始まります。

治療の24時間後

手術から24時間後にはpress fitによって適切な固定が得られている場合、1mmほどの骨壁の押し広げが生じていることになります。この形成窩の辺縁から2/3程度の部分は皮質骨にあたり血管に乏しい部分とされていますが、強固な密着がみられます。

治療から数日後

形成と圧入により形成窩の最深部付近では骨稜が骨髄の中に押し出され、血管の損傷と出血が起こります。その後、これらはインプラントと母床骨との間に血餅を作ります。この血餅は数日内に成熟し、好中球やマクロファージの豊富な肉芽組織に置きかわります。

修復能力を備えるマクロファージや未分化間葉細胞は、インプラントの埋入から1週間ほど経過すると成長因子の産生を開始します。これらの因子はインプラント埋入窩先端部分の骨小柱領域やインプラントのネジ山とネジ山の間の谷部分に形成される結合組織を介して線維増殖に影響を与えます。この谷部分はfurcation siteと呼ばれ、死腔の様態を示し周囲の骨組織との接触がみられない部分です。

この時期は、インプラントから離れた骨髄に破骨細胞が発生します。それにより壊死した骨組織が徐々に吸収されます。この部分に現れる暫間的な結合組織は新生血管や線維芽細胞、未分化間葉細胞に存在し、骨組織の死腔を満たすように形成されたのち、線維性骨を経て類骨に成熟してゆきます。これら早期の骨形成をモデリングといいます。

治療から2週間後

インプラント植立から2週間後、「逆転線」の存在がみられるようになります。これは壊死した細胞の吸収が開始するものだといわれています。

また、この時期「谷部分」では骨の新生が顕著になり、インプラントのネジ山部分では骨吸収領域が連続性を示しません。このことから、新生の線維性骨の支持能力は不十分であることがわかります。つまり、この時期のインプラントの安全性はほとんど圧入に依存しているようです。

治癒期間4週後

インプラント体にあるネジ山とネジ山の間の距離が約1mmのものを例にすると、その部分では成熟骨の残遺を含みながらも、一方では未石灰化部分に脂肪細胞が存在しない新生線維骨に部分的に置換され始めています。この新たに形成された線維性骨が本当のオッセオインテグレーションの第一段階となります。

この段階になるとモデリングされた線維性骨は破骨性作用の過程を経て層板骨と骨髄に置換されます。

治癒期間8週後

インプラント体のチタン表面には層板骨の外縁が並び、その外側には脂肪細胞を含む骨髄がみられるようになります。また、中央にハーバース管を持つ同心円状の層板構造を備えた典型的な二次性骨単位が認められるようになります。

4ヶ月後

治癒の進行に伴い骨組織は新生骨に置換されてゆきます。インプラントに隣接する部分では新生層板骨が成熟骨と連続するように馴染み、埋入窩先端の骨髄部分では層板骨の薄い外縁がインプラント表面に接しています。