タンパク分画

タンパク分画

血清中に存在するタンパクは100種類を超えるといわれています。その総量がTP(Total Protein)として計測されて血液検査に出ます。

このTPは濃度が急激に変化することがないため、おおよそ20日ほどでフォローされます。この項目は生体内の栄養状態を含めた健康状態を大まかに知るために便利な指標となります。TP内の蛋白のそれぞれの血清濃度は産生、異化・代謝、組織体液分布により左右されるので、その配分を観察することで生体内の状態を把握しようとしているものがタンパク分画になります。

測定方法

タンパク分画の測定方法はビューレット法とよばれるもので、蛋白ペプチド結合にビューレット-銅のキレートが結合する際に発色する性質を使って、アミノ酸・ジペプチド以外のペプチド結合の数が、その数を増やしていくときに発色度が高まることを利用して測定します。

ビューレット法自体は、高ビリルビン血症、溶血、高脂血症などで血清が混濁すると阻害因子の影響を請けやすくなります。

また、アルブミンは色素法で同時測定されることが多いです。TPからアルブミンを引いた差によってグロブリンを算出します。このグロブリンの値を利用してA/G比を算定することもあります。

基準値

栄養療法のカットオフラインとは異なりますが、一般的なTP(総蛋白)の成人での基準値は6.5~8.0g/dl程度であるといわれています。生後直後はこの2/3程度であるが、徐々に増加して成人と同じレベルに到達します。50〜60歳を超えると加齢とともに低下するといわれ、アルブミンと同様に横になって計測するよりも立位の方が15%程度高値になります。

基準値は様々な要因と相互作用を受けますので、多くの関連する項目と照らし合わせながら判断してゆくことになります。

動態

健常者の場合、総蛋白の60〜70%がアルブミン、約20%がγグロブリン(IgG,IgA,IgM)で占められています。

アルブミンは主に肝臓で産生され、肝臓・脾臓・腎臓・消化管・血管内皮細胞などに取り込まれ異化されます。免疫グロブリンは抗体なので形質細胞から産生され、免疫複合体形成あるいは変性し網状内皮系などでFcレセプターを介して除去されます。アルブミンは血中で減少はしますが増加はせず、一方免疫グロブリンは増加も減少もいずれも起きるので、これらの濃度バランスによって変動が生じます。

複数のピークの変動

・全分画の低下
低栄養状態、食物摂取の低下あるいは異化代謝亢進などにより、全身での蛋白合成能力の低下により全ての分画が低下する。

・アルブミン分画の低下、α1・α2 いずれか一方、または両方の増加
感染症、熱傷、脱水、悪性腫瘍などの急性の病態変化を反映したパターンです。アルブミン合成は低下し、α1分画のα1アンチトリプシン・α1産生糖蛋白合成により増加します。α2分画はハプトグロビンの合成増加により上昇します。これらは通常1〜2日後に増加を示し、24時間以内の反応であるCRPよりも反応性はよくありません。

・急性炎症パターンとγ分画の増加
慢性炎症パターンと呼ばれています。感染症・自己免疫疾患・悪性腫瘍などで免疫に持続的な刺激が加わると生じます。これはIgGの産生増加を示すもので、ここに遡って少なくとも2週間の継続を意味します。

・アルブミンの顕著な低下、α2分画の顕著な増加、β-γ分画の低下
ネフローゼ症候群で見られる形状です。ネフローゼ症候群とは腎臓糸球体基底膜の高度な障害により尿中にタンパクが多量に漏出する疾患です。分子量が大きくなると糸球体基底膜からの通過率が上昇するのでα2-マクログロブリンの多いα2分画、リポタンパクの存在する2分画-β分画などの相対比率は高まります。一方、アルブミン・トランスフェリン・IgGなどの分画は糸球体基底膜の障害により低下を示します。

・β-γ分画の結合
肝硬変などでみられる形状です。アルブミン・ハプトグロブリンなどは著名に減少します。一方、細網内皮系の機能低下によりエンドトキシンなどの腸内細菌抗原の異化分解が低下し持続的な刺激源によりIgG,IgA,IgMが多クローン性に増殖した結果、分画の中間部が癒合してジャンプ台のスロープ状になります。

・β分画の単独増加
トランスフェリンは鉄結合担送淡白であり、妊娠・鉄欠乏性貧血では細胞内鉄含量の低下により肝細胞における産生が増大します。