ホワイトニングに使われる過酸化水素について

過酸化水素

ホワイトニングにはいくつか種類があることをお伝えしましたけれども(ホワイトニングとは)、具体的には無髄歯に対する「ウォーキング・ブリーチ」、歯科医院などで行う「オフィス・ブリーチ」と自宅で行う「ホーム・ブリーチ」があります。また、これらを併用した「デュアル・ホワイトニング」もあります。

これらのホワイトニングでは、それぞれ薬剤を用いて行われます。主にオフィス・ブリーチでは「過酸化水素」が使われ、ホーム・ブリーチでは「過酸化尿素」が使用されます。

後者で使われる「過酸化尿素」は「過酸化水素」と「尿素」が弱く結合したもので、口腔内の唾液や体温で1/3の濃度の過酸化水素と2/3の濃度の尿素に分解されます。

そして、これらの成分のうち、ホワイトニング効果を示す主体は「過酸化水素」になります。

そこで今回は、ホワイトニング剤の主成分である過酸化水素についてお話ししてゆこうと思います。

過酸化水素とは

過酸化水素の分子式はH2O2と表記されます。分子量はO2=16+16=32とH2=1+1=2の合計で34になります。

過酸化水素は密度が1.4g/㎤で、常温でやや粘性のある弱酸性の液体です。オゾン臭があり、淡青色を呈しています。

水、エタノール、エーテルなどと任意の割合で混合される性質を持ち、10%の濃度ではpH5.3を示しますが、30%の濃度ではpHは約4.7にまで酸性に傾きます。

過酸化水素は、酸化剤やビニル重合の触媒などに使われます。身近なところでは、酸化作用を利用して消毒薬や食品の漂白に使われています。また、宇宙ロケットの液体燃料などにも使われています。

医療用のものとしては、過酸化水素を2.5~3.5%に調整した希薄水溶液がオキシフルやオキシドールという名前で使用されていました。

過酸化水素は食品添加物としても使用されることがあり、各添加物の使用基準及び保存基準・昭和55年、厚生省(現厚生労働省)告示第370号食品・添加物等の規格基準によって最終食品の完成前に分解または除去が定められています。

また、

熱、光、外部刺激、酵素によって水と原子状酸素に容易に分解されるという不安定な性質があることから、消防法第2条7項によって危険物第6類に指定されています。さらに、6%以上の濃度の過酸化水素は毒物および劇物取締法によって劇物に指定されています。

過酸化水素の作用

歯科において、過酸化水素はオキシドール(2.5~3.5%H2O2溶液)という薬品名で創傷部位、粘膜、歯などの消毒に用いられていました。また、分解時に酸素の泡を発生させながら洗浄効果が期待できるとして根管治療の洗浄に用いられていたことがありました。現在は根管治療においては消毒効果はあまり期待できないとして用いられることはなくなりました。

過酸化水素は粘膜や血液に存在するカタラーゼにより分解を受けて、創傷部位において殺菌作用を発揮すると考えられています。その殺菌効果は酸化作用によるものといわれ、グラム陰性菌・グラム陽性菌・酵母・ウィルスに有効だといわれています。

また、糸状菌・結核菌・芽胞に対しても長時間の接触を行えばヒドロキシラジカルの作用により脂質膜・DNA・細胞内マトリックスに効果を発揮するといわれています。

6%以上の濃度ではグルタラールに匹敵するほどの抗菌スペクトルを有し、医療器具の殺菌などにも利用されていました。

過酸化水素の副作用

過酸化水素は連用することによって、適用部位への刺激を生ずるといわれています。そのため、長期間または広範囲への使用は避け、眼に入らないように使用上の注意が必要です。

刺激に敏感な部位へは、より低濃度での使用を行うなどの配慮が必要になります。

高濃度(35%程度)の過酸化水素は、皮膚に接触すると疼痛や白斑が生じるという報告もあります。また、上記によって気道を刺激する作用もあるようです。

さらに高濃度の過酸化水素が歯肉に接触すると、Burningが生じます。その数分後には歯肉の白色化や表面の糜爛、疼痛などが生じます。

食品添加物としては過酸化水素の残存に配慮して、カタラーゼで分解可能な魚卵の血筋の殺菌や漂白に限り仕様が認められています。

ホワイトニング剤での過酸化水素

ウォーキングブリーチなどに使用される過酸化水素と過ホウ酸ナトリウムは試薬のため、過酸化水素とは取り扱いが異なり、製剤として使用する為にルールが必要となります。

院内で使用する際には、医薬品の添付文書の範囲を超えた適用が医師あるいは歯科医師の裁量権に委ねられています。