ホワイトニング剤の歯質への影響

ホワイトニングの影響

表面の着色や薬剤による変色以外の、歯質自体がが黄色くなる原因については様々な原因がいわれています。これについては、ある種年齢を積み重ねる毎に身体が老化することの原因が解明し切れていないように、歯質の経年的変化も未だ解明し切れていない部分が多いようで、はっきりとしたことが言えません。

現在、日本で認可が下りている10%過酸化尿素ゲルや35%過酸化水素などのホワイトニング剤が、歯質にどのように作用をするのかについても様々なことが言われています。

今回は、ホワイトニング剤の歯質への影響についてのある一つの見解について述べたいと思います。

歯面への影響

歯面にホワイトニング剤を適用すると、まず初めに確認されるのは「ペリクルの消失」です。ペリクルは獲得皮膜とも呼ばれていて、歯の表層を保護する有機性のタンパク質です。

このペリクルが除去された歯面は、感受性がとても強くなっており、そのため色素の沈着の作用を受けやすい状態になっています。また、色素がないものであっても酸の影響を受けやすい状態になっていますので、脱灰しやすくなっています。このように感受性の強い状態になっていますから、反対にフッ素の取り込みなどはとてもされやすくなっています。

これらの変化は過酸化水素の有機質分解作用によるものと考えられています。

このペリクルの再獲得は、唾液に1時間から数時間接触していることで行われます。

このペリクルの消失によって生じる歯面の感受性の良くなった状態が、ホワイトニング直後に有色飲食物摂取の制限の理由になります。このことにより、タバコの中止や有色の飲食物を採ってはいけないという指導がなされます。

エナメル質において、過酸化水素を作用させた場合にはそうでないものと比べてエナメル小柱のアパタイト残留部分が箒状になり、耐酸性が低くなっていると考えられています。

到達の深さ

象牙質をEDTAという弱酸の溶液に浸しておく実験において、通常の象牙質ではアパタイト表面の鋭角部が丸い形状に観察されます。これに対し、EDTAへ浸漬する前に過酸化水素に作用させておくと、ハイドロキシアパタイトの形状が明確になる様子が観察されます。これは、過酸化水素を作用させると歯面のペリクルに対してだけではなく、象牙質のアパタイト表面の有機成分にまで影響を及ぼし、酸への感受性を高めるためだと考えられています。

また、歯を水平断して階層構造を確認する実験において、漂白前のものと比べて漂白後はエナメル象牙境まで明度の上昇が確認されています。

象牙質の組織構造は、象牙細管という構造物が重なるように出来ている細管構造を呈します。エナメル象牙境までホワイトニング剤の作用が及ぶとなると、その細管構造を介して歯髄にまで作用が波及することが推察されます。このことは文献によっても確認することが出来、それによるとその作用は15分程度で歯髄にまで達するといわれています。

このことはホワイトニングと知覚過敏の発生との関係についての説明にもなり得るものですが、それでは知覚過敏が強く生じる方がホワイトニング剤の反応が良く、ホワイトニング効果が高まるということとはエビデンスがないようです・

ホワイトニング後の歯面

ホワイトニング直後には有色飲食物を避ける方がよいと言われていますけれども、その指導は一生守らなければならないものではありません。それは、ホワイトニング直後には色が後戻りするものの、7〜10日後に色が安定すると考えられているからです。

この理由の一つにはペリクルの存在が関与していると考えられます。ペリクルの消失した歯面では色素の沈着や脱灰の影響もありますけれども、フッ化物を作用させるなどの行為によって積極的に改質出来る可能性も指名しています。これによって、初期の齲蝕をホワイトニングで悪化させることがないという報告もみられます。

その他に、最近の研究では、ホワイトニング後に人工唾液などに浸漬を繰り返し行うと、無機質イオンが再石灰化層に取り込まれる様子が確認されています。この効果により、実験においては再表層のエナメル質では炭酸基よりもリン酸基が増えていたことが報告されています。

ヒト小臼歯にホームホワイトニングの10%過酸化尿素ゲルやオフィスホワイトニングの35%過酸化水素を用いた後に、人工唾液の中に保管したものをマイクロCTで観察した研究では、表面に良好な再石灰化の層が認められました。

この再石灰化層は、10%過酸化尿素ゲルによる処理では脱灰されているように観察され、35%過酸化水素では石灰化されたように観察されます。これらの違いはホワイトニング法の差と再石灰化プロセスやミネラルの再配分が関与していることが考えられていて、これらの表層での石灰化度の違いは後戻りの違いにも関与している可能性があるとされています。