上部構造のスクリュー固定について

インプラントの上部構造を固定するにはスクリュー固定とセメント固定の2つの方法があります。どちらの固定方法を採用するのかによってアバットメントの選択や上部構造の設計や咬合様式に違いが生じてきます。現在では審美・機能面、作業のしやすさなどに優位なセメント固定が増加傾向にありますが、メインテナンスのしやすさなどの点からスクリュー固定も見直そうという動きが盛り返してきてもいます。この記事では、まずはスクリュー固定についてお話ししてゆこうと思います。

インプラント スクリュー固定

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スクリュー固定とは

スクリュー固定とは、上部構造咬合面より基底面まで貫通するように穴が設けられ、その中にスクリューを通してインプラント体と連結する仕組みになっています。ネジによる固定の力は機械工学的にプレロード(先行荷重)と呼ばれる作用によって固定をします。力を受けた際に伸展したネジが元に戻ろうとする弾力性と、スクリューヘッド部にかかる引張応力との均衡により固定力を発揮します。

スクリュー固定の問題点 ~負荷の問題~

側方圧などにより上部構造とインプラント体が離れるような力が加わるなどのような、プレロードよりも大きな負荷がかかった場合、ネジの緩みが生じます。ネジの緩みは上部構造の動きを許容することになり、咬合をズラし、力の方向を狂わせます。これによってインプラント体の骨結合の喪失を招いたり、スクリューの破損を招くこともあります。また、アバットメントが浮く状態になるので、その隙間から微小漏洩を起こし骨への感染を起こす場合があります。

スクリュー固定のメリット

何か問題が生じた際に、スクリュー固定は外しやすいというメリットがあります。この場合に考えられる問題とは、主に上部構造の表面に貼り付けてあるセラミックの欠けが考えられます。スクリューの破損や取り外して内部の炎症を確認しなければいけないなども問題に含まれると思います。これらの場合やメインテナンスの時に、必要があれば上部構造を簡単に外せるので、ケアがしやすいというお話もあります。けれども、インプラントの2次オペの際にアバットメントを交換するだけでもわずかな骨吸収が生じるといわれていることから、外す毎に骨吸収が生じることが示唆されています。ですので、わざわざ外すような構図を設ける必要があるのか疑問が残ります。少なくとも、その適応についてはかなり症例が限られなければならない可能性があります。

スクリューと上部構造

スクリュー固定ではアクセスホールという穴が上部構造咬合面に設けられます。このアクセスホールを利用して、スクリューにドライバーを当てられるようにしてあります。このアクセスホールがインプラントの直上に位置しているために、咬合接触点の位置に制限が出来てしまうだけでなく、それをかわすと必ずインプラント長軸方向と加重ベクトルが異なってしまうという問題が生じてしまいます。また、単純に口腔内に穴が開口しているので食物は入りますし、最近も入ることが予想されます。この問題を解決するためにアクセスホールをレジンなどで埋めるという方法が取られています。その際にレジンの結合はどの程度のものを要し、どれほど維持できるのか、咬合力を加えた場合などについて、まだ議論の余地があるようです。

また、スクリューヘッドとアバットメントの間ではスクリューのヤマが接触面で発生させる摩擦力が重要になります。技工操作で生じた傷や粗造面でも高確率でプレロードの低下を生じると言われていますから、緩んでは締め直すことを繰り返し行う、メインテナンスの度に緩めては締めるを繰り返すということをしていれば、こちらも当然にプレロードの低下を招きます。その結果、ネジの緩みを招きます。

人間が行う作業が前提です。長いネジを入れる際に、本当に均等な側方への圧力をかけて、奥まで締めることが出来るのでしょうか?組み立て式の家具ではありませんが、企画のものであっても意外と難しものですし、締めればあとは確認のしようもありません。必ずヒューマンエラーというものが生じる事を前提に行わなくてはいけないと思われます。