不正咬合 ~開咬~

床矯正装置

開咬とは

不正咬合の上位4つのうちの一つが開咬です。あまり聞きなれない症状かと思います。この開咬自体は見た目の問題になりにくく、違和感も少ないです。ですから、このことを相談されにご来院される方は非常に少ないです。他の何かの症状を改善にいらした際に発覚することが多い不正咬合です。

開咬とはどのようなものかといいますと、歯列を真横から見た際に、噛む面が平坦化されておらず臼歯部のみが噛み合わせている状態です。そのことによって、前歯が噛み合わせられない、上下の歯が触れることが出来ないという状態のことをいいます。「イーッ」とした時に前歯が開いてしまうことをいいます。

開咬の問題点

開咬の場合、叢生を伴わなければ見た目にそれほど違和感がないことが多いです。食事も不便そうに思いますが、慣れてしまっているので本人は平気だということが多いです。では、何が問題になるのかといいますと、カチカチと噛む開閉口運動と、ギリギリとする側方運動の両方を臼歯部が行なっていまうところにあります。

本来、
・前歯は側方、前方運動時に接触し臼歯を休ませる
・臼歯は力強く噛み込んだ時に大きな力を負担する

という役割分担のようなものがあります。多くの歯が上下で触れることによって咬合力を分散し、力の負担を軽減させるということをしています。開咬は、この口腔内全体としての機能を果たせないという問題が生じてしまいます。それによって、

・奥歯が外傷を起こす
・歯間部にものが詰まる
・歯が摩耗してしまう

ということが生じてしまいます。そうすると、

・外傷によって歯が揺れてきてしまったり、折れてしまう
・強い圧で食片を歯肉に入れ込む
・噛み合わせが変わる
・エナメル質が減ってしみるようになる

などの分かりやすい変化から、二態咬合や顎関節症などの変化まで起きることがあります。このことは間接的に咀嚼サイクルを狂わせるため、筋肉、神経機構、顎関節、脳などに負担がかかるといわれています。

治療上の問題点

上顎前突・下顎前突などと並行して開咬が生じると難易度が増します。それは前後方向の改善だけでは解決しなくなってしまい、三次元的で複雑な治療が必要となるからです。そもそも、開咬が生じる際には主に臼歯部の過萌出というものが生じます。奥歯が長く生えてしまっている、伸びてしまうという状態です。そのために先に奥歯が当たってしまい、前歯が届かなくなってしまいます。この時に、多くの場合、臼歯と一緒に周囲の骨も高さを増してきてしまいます。

通常の矯正治療では、過萌出した歯を再び骨の中に埋め戻すということは出来ません。一般的には、前歯を閉じる方向に引っ張りあって開咬の改善を目指します。ただ、これをやりすぎると歯茎が多く見えてしまうガミースマイルという状態になってしまいます。

開咬の原因

開咬になってしまう原因は様々ですが、主な原因は次の通りです。

・遺伝的要因
・癖
・治療の副作用

遺伝的要因は親子間で骨格が似ることによって生じます。ただ、近年はそれのみではなく、妊娠中の影響もあるのではないかといわれています。これは、開咬に限らず不正咬合の骨格的な反応の全般に共通して言えることです。

癖については、指しゃぶりなどで生じることがあります。親指を吸うときは上顎前突傾向になることが多いです。人差し指や中指を吸う時に開咬になる華光が高く、これは指を曲げる方向も関係してくるのかもしれません。また、前歯の空いているところに舌を入れる舌突出癖も原因になるといわれていますが、隙間が空いているから舌を入れているとも考えられるので原因になりうるかどうかは不明です。この癖によって、歯の軸の前方への傾斜は生じると思います。

治療の副作用とは、近年、手軽な小児矯正ということで入れ歯のようなプレートを使った矯正装置によって生じる場合です。歯列を広げる目的で使われえることが多いそれは、実際には骨が開くことはなく、歯が傾斜することで歯列が広がったように見えます。この時に生じる臼歯の傾斜は、下顎では直立させすぎ、上顎では口蓋咬頭を落とすという動きに繋がり、それら傾斜移動は骨から歯が出る動きも伴うので、そのまま開咬となってしまいます。