口臭


口臭

社会経済的な問題

口臭と聞いてその意味をご存知でない方はいないのではないかと思われるほど、お口の関心ごととしては口臭は有名です。念のためお話ししておくと、口臭とは呼気の不快な臭い全般を意味します。口臭をイメージすると、ある人は自分を気にするかもしれませんし、またある人は誰かを思い浮かべるかもしれません。街ですれ違った人かもしれませんし、会社のデスクの向かいの人かもしれません。口臭については人は長い間関心が高く、聖書やコーランの中でも言及されています。口臭で最も多い原因は歯肉炎と歯周炎であり、それらには必ずプラークが関係しています。しかし、多くの歯科医院では口臭はあまり扱われていないのが現状です。健康保険制度にも口臭の治療については適応がなかったりします。

私たちの業界では「起床時はどんな美人でも口が臭い」と言っているのですが、成人の約半数以上に起床時の一時的な口臭が認められます。これは進行中の口腔内の腐敗によるものです。ただ、起床時の一時的な口臭であれば問題はありません。睡眠中の副交感神経支配による唾液分泌量の減少のため、口腔内が乾燥することによって生じるものだからです。そして、この起床時の口臭は飲食後に消失します。

問題は、日中に残っている口臭や、社会的に、もしくは人間関係に問題を引き起こす口臭です。冒頭で触れましたけれども、接近して会話をした時に耐えられないか、もしくは耐えられなくはないが不快な口臭というものを誰しも経験しているだろうと思います。また、自らを口臭があると感じている人は、会話の時に相手と距離を取るか、口元を手で覆う仕草をします。口臭を隠す為にガム・洗口液・スプレー・飴などを使用する傾向にあります。これらある種の異常行動を改善するだけでも、社会的にも人間関係においても改善がみられると思います。また、自分の心理面にも健全です。これらのことだけでも、口臭の治療に取り組む価値がいかに高いものであるかがお分かり頂けると思います。

本当は口臭がないにも関わらず、自分には口臭があると思い込んで不安になってしまう自臭症というものがあります。この思い込みの口臭は強迫観念やうつ病に関係していて、時に自殺にまで及ぶことがあります。また、世界的にも有名な日本の調査では、4人に1人が社会的に許容限界と考えられる75ppb以上の揮発性硫化物濃度を示したといわれています。この揮発性硫化物は食物摂取の数時間後に最高値に達します。また、年齢・舌苔・歯周組織の炎症により増加します。これらのことを考えると、口臭は社会的に(それは大小様々なコミュニティがある)影響が強いということでもあると思われます。

口臭の原因

口臭の原因のうち、87%が口腔内由来のものであるといわれています。その他には、8%が耳鼻咽喉科領域、5%が全身あるいは不確定なものであるといわれています。全身の影響のうち、中には肝臓や腎臓の不全症や気管支の癌などような重篤なものも原因となることがあります。

口腔内の菌については、通常は嫌気性菌(Treponema denticola,Porphyromonas gingivalisなど)がL-システインや血清、口腔内に存在するタンパク質から硫化水素とメチルメルカプタンを産生する。さらに研究した結果をみると、メチルメルカプタンやジメチルサルファイド・ジメチルジサルファイドを含むのは歯肉溝滲出液であることが明らかになっています。よって、歯周ポケットが深くなり炎症が強くなるほど口臭は強まります。

次回)口臭についてのさらなる詳細や治療方法についてもお話しします