情動の発達 2 ~自律性の発達~

    自律性の発達

自律性の発達

2歳前後になると非協力的で、しばしば憎らしい行動をとることいから欧米では”恐怖の2歳児”などと呼ばれ、日本でも”反抗期”と言われるようになります。この時期は、子供がしだいに母親から離れて個人の主体性、すなわち自律性の発達がみられるようになります。子供は自分で自由に選択をしようとし始めます。親の意見にことごとくノーを答え自分のやり方を主張する一方、必要があれば親に甘えるという二つの面を行ったり来たりします。この時期に関わる周りの大人は、危険で受け入れにくい行動の結果から子供を守るのと同時に、独立した行動が出来るように機会を与えてあげなければいけません。この時期に「ここまではいいよ」と限界を絶えず教え続けてあげることで予測できる環境において信頼感をさらに発達させることが出来ます。

失敗

正しい自律神経の発達に失敗すると、子供は自分が一人でやってゆけるかどうか疑いを持つようになります。それにより、今度は他人に対する疑いを生み出すようになります。Eriksonによれば、この自律性の形成に失敗した状況を「恥の感覚」すなわち「個人の欠点が全て露呈した時の感覚」と定義しています。この段階は”憎しみに対する愛””利己主義に対する協力””はにかみに対する自己主張”などの個性が生まれるのに決定的な意味を持つ時期である。この時期での自律性は、おむつが取れて自分で用をたすように身体的機能をコントロールする上でも重要な役割を果たします。Eriksonmは「自尊心を失うことなく養われた自制心から、長続きする善意と誇りが生まれる。自制心の欠如と外部からの過度の干渉は疑いと恥の性癖をもたらす」と言っています。

歯科治療では

自立心の育ちつつある2歳児にとっては、自分で口を開けることには一切抵抗がありませんが、誰かに言われて口を開けるということは心理学的には受け入れ難いことのようです。ですから、歯科治療の際には、術者からの希望については強要されたのではなく子供自身が自ら選んだと思わせることが治療に協力してもらう鍵になります。具体的には、エプロンの色などを自分で選んでもらうなどを行う必要があります。この段階で恐怖心が強くお母さんの元を離れられないお子さんは、どんなに治療が簡単なものであっても治療室に親御さんと入って頂く必要があります。そもそも、この年齢では歯科治療はきわめて困難で、治療を見送るか鎮静剤や全身麻酔のような行動管理が必要になる場合もあります。少なくとも、乳歯が生え揃って幾ばくもない時期に虫歯になるようであれば、そのまま見送る訳にはいかない時もあります。日頃の歯ブラシの状況や食事内容についてご両親に見直してもらう提案をしないといけないこともあります。そのことは、この段階の年齢の子供にとって自律性を発達させるために限界を教え続けるということの復習ということになるのかもしれません。