情動の発達 3 ~イニシアティブ(自発性)の発育

イニシアティブの発達

イニシアティブの発育

およそ3〜6歳の段階では、子供はより一層自律性を発達させます。そして、それに加えて活動に計画を立ててうまく遂行しようとします。この時、周りの大人は子供の活動性を管理しやすい作業に向けてあげることが重要になります。子供が成功しやすいように物事を準備してあげる、または成功することが難しそうな場合は行わないようにしてあげるなどが必要になってきます。助かるのは、この段階では子供はよく教えを聞きます。自発性の一部として、子供は尊敬する人物の行動を熱心に模倣するということをします。

罪の意識

この発達段階では、やってみたいtぽいう希望はあるけれども到達出来ない目標や、一旦始めたものの終了を迎えない行為、あるいは尊敬している人物から非難されるような過ちや行為が原因となって、人は罪の意識を持つことがあります。Eriksonはこの段階で間違った考えを述べたり、期待通りのことを達成できなくとも、罪の意識に駆られることなく、うまく新しい考えを表明したり新しいことが出来たかどうかで、子供が独創的に考えたり行動したりすることが出来るようになると言っています。この段階では多くのものに好奇心を抱いていて、そこで目にするものを熱心に知りたがります。

歯科治療では

ほとんどのお子さんはこの段階で初めて歯科医院を受信します。本来であれば、子供が成功体験をして独創的な人間になれる貴重な場です。歯科医院を訪れる不安に打ち勝つことで独立心を養い、物事を成し遂げる感覚を養う上で大いに役立つこととなります。しかし、一方でうまく進められない経験をしてしまえば歯科医院での経験は罪の意識を育てるものとなってしまいます。

初めての歯科治療をうまく体験させるには、母親と一緒に様子を見に来院してもらい、ほとんど実質的な治療を行わないことが重要になります。このような経験を積めると、母親と離れて治療することが出来るようになり、協力的な態度をとるようになります。この場合、依存よりも独立心が強化されたと解釈することが出来ます。

このようなこともあり、私はよほどの緊急性のある治療以外の場合にはすぐに治療をしないようにしています。その間、お母さん方は治療してほしそうに、来院回数を少しでも減らせるようにと願いますが、大人の都合には子供の情動の発達は関係ないことをお伝えし、理解して頂くよう努めています。

「ちょっとでもいいからやっておきなさい」「たいしたことないから」と言ってどうしても治療をさせたい親御さんの場合には、私も仕方なく応じることがあります。それは親御さんの他者への支配欲求を満たして納得してもらうことの一つとして、お子さんの代わりに私が応じるという構図を作ることを意図しているのですけれども、その後、ほとんどのお子さんは急に治療が出来なくなり、中断し、来院されなくなってしまいます。時に「全然治療してくれない」と転院までしてしまう方もいらっしゃいます。

中断した場合は治療に復帰できるのに半年以上かかるお子さんもいます。しかし、それでも私はとことん待つことにしています。すると「あと何回かかりますか?」と尋ねられることがあるのですが、お子さんの前では明言しないようにしています。面倒くさがっていることが伝わってしまうからです。おそらく帰宅後もあと何回だと口にしてお子さんにプレッシャーがかかるだろうと思います。できるだけ回避してあげたいと苦肉の策で巣。

乳歯は生え変わるものがほとんどですから、後には影響をひきません。しかし、心に残る影響はその後の人生でずっと影響を引きずります。せっかく尊敬する人(親御さん)の言うことを聞こうとしている段階なのに、罪の意識を植え付けるのはあまりにもったいないと思います。