情動の発達 4 ~技術の習得~

技術の取得

7~11歳の段階では、子供は学問的にも社会的にも様々な技能を獲得するために努力しているといえます。現在の教育にいては否定的な意見もみられますが、それ以前では創造性を持っている者に注目が集まるような環境の中、子供はその技能の獲得を通じて競い合うことをしてきました。そして、それと同時に世の中の習わしについて学習もしてゆきます。この段階についてEriksonは、子供は勤勉さを身に付け、競争に満ちた活動的な社会へ入ってゆく準備を始めると表現しています。褒賞方式
の中で他社との競争は現実的になり、仕事によっては他者と協力することで初めて達成できるものもあるということをはっきりと知ります。この時期は役割モデルとしての親の影響は減少し、友人の影響力が増します。

劣等感

この段階での情動や人格の発達において、負の側面を考えるのであれば、それはん劣等感の獲得になります。勉強、社会性、身体的なものなどで子供は競争を始めます。この時に、自分よりも上手にできる者がいること、自分よりうまくこなせる者がいることにはっきりと気がつきます。成績の取れる者、リーダーシップのある者、チームの第一人者と認められるような者などを目の当たりにして、広い意味で自分は仲間より遅れをとっていると感じるようになります。そうすると、精神的未熟さ、劣等感、無力感といった人格的特徴を持ちやすくなります。

この時に責任ある大人が取るべき重要な行動は、子供が挑戦できるような環境を作ってあげることです。この時の挑戦は目に見えて失敗するようなものではなく、対処ができる機会を十分に備えてあるものが望ましいと言われています。

劣等感の獲得

歯科治療では

実は、この段階までには歯科医院に行くという体験をしておいた方がいいといわれています。この年代の子供はどのような場面や状況でも成功につながる技術や規則を学ぼうとします。それは、歯科医院においても例外ではありません。特に矯正治療などはこの発達段階の時期に開始されることが多いです。

子供の行動を上手に誘導してあげる方法として、達成できる中間ゴールを設け、どのようにすればそのゴールに達成できるかを大まかであっても明確に子供に話し、後押ししてあげることだと言われています。私自身は、これだけでは不十分であると感じていますが、テンプレートとしてまず履行するのには行いやすいものだと思います。この方法を用いることで、子供は努力して達成するという感覚を本能的に欲しますから、治療の協力は得られやすくなります。

この年齢層の矯正歯科治療では可撤式の矯正装置をきちんと装着しておくことが重要になります。可撤式装置とは、FKO(アクチバトール)やツインブロックやフレンケル装置などの自ら装着も取り外しも行う事の出来る装置のことをいいます。これらの装置は筋肉や結合組織へ刺激を加えることで骨に影響を与え、歯並びの改善を目指す装置です。可撤式の拡大装置も近年流行していますが、この手の装置は骨へのアプローチを目標にしていますが、作用時間・作用する力やメカニクスが不十分なため奏功しないことが多いです。後にお話しする予定ですが、成長方向や量も関わってくる話なので、二次元的な側方拡大というアプローチもこの年齢層でのダイナミックな三次元的な変化には対処出来ないと思われます。

子供が治療を受け入れてくれるかどうかは、主として術者や両親が喜ぶにはどうすればよいのか、周りの者が望む行動を術者が強化しようとしているかのかで決定されます。そして、「この装置で噛み合わせが良くなる」という抽象的な概念では動機付けられることはほとんどなく、仲間から自分への評価が上がる事で動機付けられることがほとんどです。子供は大人の縮小版ではないということをお話ししましたけれども、この点においては大人も動機付けの傾向が似ている人が少なからずいることは面白いなど思わされます・