歯の移動のための固定

固定

固定の計画

歯は生えている場所は違いますけれども、同じ歯槽骨に生えています。ですので、歯と歯を引っ張り合って移動させようとした場合、それぞれの歯が引っ張られる方向に寄るように移動してしまうという現象が起きてしまいます。これをそのままにしてしまうと、移動させたい歯が目標とする位置に移動する前に、もう一方で引っ張られている歯がそのスペースに移動してきてしまって、充分に移動しきれなくなってしまうというようなことが起きてしまいます。そうすると、目標とする歯の移動が行われなくなってしまいます。
これを解決するために、矯正歯科治療では動かしたくない歯を固定することを考えなくてはいけません。

固定の種類

固定には目的に応じて強度に差をつけることをします。その分類は、大まかに以下のものがあります。

・最小の固定
・中程度の固定
・最大の固定
・絶対固定

これらの固定にはそれぞれ使用する器具が異なることがほとんどです。

最小の固定

引っ張り合う歯がそれぞれ移動してしまうことを、ある程度許容する方法です。この際に、引っ張り合う歯の歯根の数や太さや形状、歯根が骨に触れている表面積を考慮して行います。例えば、大臼歯と小臼歯を引っ張り合うとすると、大臼歯の方が太くて立派な歯根がありますので、小臼歯よりかは引っ張られる力に対抗できるので、移動量も少なくなります。
この例は、単純に歯と歯を引っ張り合うような場合をいいます。

中程度の固定

同じ本数では最小の固定となってしまう場合でも、片方を2本もしくは3本とつなげることでひとつの大きな歯のようにします。そして、2対1もしくは3対1の関係を作り動かしたくない歯の歯根の表面積を増やすことで、その移動量を減らす工夫をします。
例えば、第一大臼歯と第二大臼歯をワイヤーで結んで小臼歯を引っ張るような場合です。

最大の固定

移動させたい歯のみを極力動かしたい時に、補助器具を使って固定源を確保して目的の歯を移動させます。例えば、パラタルバーを第一大臼歯に固定し、小臼歯を移動させる場合や、ヘッドギアを使って頭や首の後ろを固定源にして歯を移動させます。

絶対固定

空いているスペースに向かって、移動させたい歯のみを100%動かす時に使われる固定です。これにはインプラントアンカーを使用します。インプラントアンカーは骨に直接埋込したネジのようなもので、歯根膜がないので移動しません。この移動しないインプラントアンカーから移動させたい歯のみを引っ張り、目標とする位置に移動させます。