歯並びが悪くなる原因 ~歯の異所萌出~

異所萌出

歯の生え変わりの時期に問題になることの一つに「晩期残存」があることをお話ししました。

その他に、歯の生え変わりの時期にお問い合わせが多いものに「異所萌出」というものがあります。これは何かといいますと、本来生えてくるはずの歯が生えてこないことや、本来の位置ではない所に生えてくること、真っ直ぐ生えずに捻転していること等を総合して「異所萌出」という単語で表現しているようです。

この異所萌出と呼ばれる症状による問題は、部位によっても異なります。ですので、今回は「部位別」にその問題点について解説してゆこうと思います。

側切歯

異所萌出はそもそも、先行乳歯や隣在する永久歯がこれから生えようとする永久歯によって吸収を起こさせてしまう場合に生じるものです。

乳歯が早期に喪失したり、永久歯の萌出の邪魔をされると永久歯の排列の異常の原因となることがあります。

側切歯の場合、その萌出時には通常、乳犬歯の吸収がみられます。

異所萌出が原因となって乳犬歯の喪失がみられる場合、通常は全ての永久歯が萌出するスペースが不足していることになります。ただ、この場合、側切歯の萌出経路異常がある場合もあります。

乳犬歯の早期喪失が片側の場合、その場所に向かって側切歯が萌出し、正中も喪失側にズレることが多いです。

乳犬歯の早期喪失が両側の場合、特に下顎においては永久切歯は舌側傾斜そ起こし、歯列弓短縮による叢生の悪化が予想されます。

上顎第一大臼歯

稀に上顎第一大臼歯が第二乳臼歯の遠心根や歯頸部を吸収してしまうことがあります。

この状態は通常、無痛性に生じる異所萌出のため、気づかれることが少ないです。多くは永久歯が急傾斜して萌出しようとしているか、歯が大きいか、上顎が小さく遠心位にあることとの関連がいわれています。ただ、骨格との関連はないとする報告もあり、詳しい報告が待たれる状況です。

萌出障害が6ヶ月以上続く場合や、第二乳臼歯の吸収が続くようであれば積極的な治療介入を検討しなくてはいけません。

上顎犬歯

上顎犬歯の異所萌出は比較的多い頻度でみかけます。いわゆる「八重歯」などのように萌出後には見栄えを悪くするものとして一般的にも知られていることかと思います。

この異所萌出の問題として、「犬歯の埋伏」と「側切歯の歯根吸収」がいわれています。

これらを確認するために歯肉の触診などを行うのですが、その際に膨らみがない上に、患者が10歳を超えていればレントゲンによる確認が必要になるかもしれません。むしろ、この時期以前のレントゲン撮影による判断は萌出経路の予測に用いるには信頼性に欠けるものとして避けなければいけません。

レントゲン上で問題がみられるのは、萌出中の犬歯が側切歯の歯根を吸収してしまっている場合です。この場合、側切歯が脱落してしまうか失活してしまう恐れもあります。

歯根の吸収が見られない場合、適切な処置をすることでおよそ91%で犬歯が正常に萌出するといわれていて、さらに進んだ異所萌出であっても64%ほどの確率で改善するといわれています。