歯周病の進行 ~開始期病変~

歯周病における変化

歯周病はどのようなヒトの集団であっても、加齢と共にプラーク起因の疾患として憎悪することが明らかになっています。ただ、歯周病の発現と進行にはそれぞれのヒトの集団で異なり、それだけでなく歯ごとにも異なります。そして、いったん発症すると、歯周病は進行的で破壊的な特徴を持続すると考えられています。この破壊については、成人では1年間に1歯面あたり平均0.1~0.2mmの付着の喪失が起こると考えられていて、これは1日に0.5μmの喪失をしているということになります。これらの数字はあくまで平均であって、慢性の歯周病は異なった歯や歯面において異なった速度で進行し、悪化してゆきます。

長期の研究では最初の診査と比較して付着の喪失が見られたのは全体の12%に止まりました。これらのうち始めの3年間で付着の喪失を起こした歯面の40%がその後にさらに喪失を起こしたことが観察されています。これらのことから、緩慢かつ確実な進行をするのではなく、その進行においても特異的な進行を示し、静止期と急性期を交互に繰り返す疾患であることを示しています。これらのことより、歯周病の治療においては定期的に観察し経時的な変化を比較してゆくことが大事であると思われます。そのためには、歯周病の各段階での組織の変化を把握しておくことが重要になってきます。

歯周病のはじまり

開始期の病態

細菌が歯と歯肉の境目に堆積し増殖すると、歯肉に炎症性の変化がみられるようになります。この炎症は7日前後放置しておくと、臨床的に観察できるようになります。その後、10~20に日間放置を継続すると、歯肉の発赤、腫脹、出血傾向が臨床的に明瞭に確認できるようになります。

この期間の血管反応は細菌性プラークが形成し始めると1日ですでに認められるようになっています。まず血管透過性が亢進してくるのですけれども、このことは臨床的には歯肉溝滲出液の増加が認められることで確認することが出来ます。細菌性プラークが蓄積を始めて2~4日後には接合上皮やその直下の結合組織と歯肉溝へ、多数の中好性顆粒球、単核細胞、マクロファージが血管よりの遊走の亢進と凝集が認められます。この時、接合上皮の上方部分のコラーゲンは消失してゆきます。また、この部位には多数の白血球が凝集し、まれに歯肉溝を形成することもあります。この段階では、接合上皮内部にある結合組織中の炎症反応自体は結合組織全容積の5~10%ほどの変化に止まります。しかし、浸潤部分のコラーゲン含有量は60~70%にまで減少していて、その組織変化は顕著です。この初期段階でリンパ球が出現しているということは、次の段階の免疫応答の開始の準備がされていることを意味しています。