歯髄象牙質複合体とは

歯髄組織複合体

歯髄象牙質複合体

象牙質は象牙芽細胞突起を含む組織であるので、象牙質と歯髄は特有な機能的構成要素の一つとして考えなくてはいけません。このことは1983年の論文で既言われていまたことです。つまり、従来では象牙質であれば象牙質、歯髄であれば歯髄の処置と分けて考えられていたものが、象牙質に達したら歯髄の処置をしていることと同じように考えなくてはいけないことを示唆しています。咬耗・摩耗・歯肉退縮などによる口腔内環境への象牙質の露出は、歯髄象牙質組織における細胞の反応も生じさせます。また、口腔バイオフィルムの代謝活性からの反応も生じます。しかし、これらの反応は数ヶ月から数年単位で進行するものがほとんどであるため、象牙質は細管の生理学的な硬化のメカニズムを通じて細胞由来の防御を高めます。管周象牙質の成長・細管内のミネラル塩の再沈殿の結果、慢性病変において細管の閉塞は継続します。管周象牙質の成長は加齢に伴う生理学的過程で細管の空隙を破壊し、象牙質を脆弱にする可能性があります。また、ミネラル塩の大部分はハイドロキシアパタイトである場合が多く、これらの沈殿した結晶は象牙質をより石灰化させて透過性を低下させると考えられます。これは、齲蝕病変下の象牙質の透過性は健全な象牙質のものと比べると14%でしかないといわれていることからも妥当性のある考えだと思われます。

虫歯と歯髄象牙質複合体の反応

1965年の古い研究からも、齲蝕の過程がまだエナメル質内のものであったとしても、歯髄において炎症反応がみられたことを明らかにしています。活動性のエナメル病変において、象牙芽細胞下での病変における細胞の増殖がみられるといわれています。この初期の段階ではマクロファージ様の樹枝状細胞がみられ、免疫応答性細胞が歯髄の防御の役割をします。緩やかな進行をするエナメル病変では、その直下では細胞の増殖はみられません。よって、口腔バイオフィルム中の代謝活性は病変初期の歯髄象牙質の関連が確認できるということになります。一方、進行の早いエナメル病変では象牙芽細胞は破壊されフィブロデンティンと非象牙芽細胞に置換される場合があります。しかし、時折見られるものに死帯と呼ばれる象牙芽細胞が置換されずに部分的に細管が空になることがあります。これらの防御機構に加えて初期に生じる象牙芽細胞は別の機構から進行してきた第二象牙質の増加によって反応するといわれています。そして不規則な細管構造をもつ第三象牙質が歯髄側に形成されるようになります。これらの反応は齲蝕の断続的な活動に応じて歯髄象牙質複合体も活動期と修復期の調整が行われているようです。このことは、齲蝕部位が清潔に清掃されている時にその進行が停止することからも考えられます。

歯髄の反応

歯髄炎いわれる歯髄の炎症は、歯髄腔内の組織液の圧力の限局性の増加がみられ歯痛をもたらすことがあります。しかしながら、歯髄の炎症は歯の痛みと関係するかは現在においても実はわかっていません。急性と慢性の歯髄炎の判別は臨床上重要なことですので行うことは有意義のようです。

深い齲蝕に対する歯髄の反応はリンパ球・マクロファージ・プラズマ細胞を伴った慢性の炎症性滲出物と第三象牙質の形成がみられます。急性の歯髄炎の場合には多形核白血球がみられます。齲蝕病変の下部では細胞浸潤は強度が異なり、白血球が象牙芽細胞を破壊する限り象牙芽細胞層へと浸潤します。このことは管状象牙質形成によって確認することができます。管状象牙質と新しい象牙質はともにデンティンブリッジ形成とされています。これら修復象牙質は特に不規則な構造になっていて細管には一次象牙細管の連続性はみられません。