糖質 その2

糖質の吸収

マウスでの実験による糖質制限の危険情報によって、あちらこちらと踊らされている人たちが少なからずいたというお話をしました。この手の話は毎回いろいろと出回ってきますが、毎回このように話題になるのが面白いなと思います。世の中のもののほとんどのモノは100%と言っていいほど反対の意見があります。しかし、そのようなことを忘れてこのようなことのみが話題となっていることに対し、ニュートラルでいられないことが私たちの面白い部分です。今回、残念ながら踊らされてしまった方でも、おそらくご自身の専門分野のことであれば「それは違うよ」と思うはずなのですが、畑が違うとそうはならないのでしょう。

もちろん、農家の方々が一生懸命に作物を作って下さっていることに感謝をしない日はありません。ただ、糖質制限などの処置が必要な方に正しい情報が届かなくなってしまいかねかないことは、形や方法は違えど同じく人々の健康を考えて良いものを生み出そうと頑張っている者同士として、気をつけないといけないことなのではないかと思います。

引越しをされる方や遠方にお住いの方から聞かれることに、「信用できる歯医者さんはどのように探すのか?」という内容のことを聞かれます。今回の糖質制限のお話やその他に出回る色々な健康情報についても同じことがいえると思うのですが、結局はそれらを見抜く眼を養うしかないのだと思います。そして、その目を養うには、右から左へ流れてゆく”情報”を流し読みするのではなく、ある程度の背景までをしっかりと調べる必要があるのだと思います。根本的に大切なことを把握しておくことが出来れば、枝葉のあたりでそよ風が葉を揺らしても揺るがぬものになるかと思います。自分の健康、家族の健康のためになることですから、誰もが専門家になることが望ましいと思われます。

この「歯の百科事典」では、それら背景を知ってもらうことで、せめて読んでくださる人にだけはよい治療の選択をしてほしいなと思い更新を続けています。最近もしか情報のリサーチをしましたが、なんとも言えないものがありました。一応、歯科医師が監修しているようなのですが、本気でそう思っているようであればちょっと困るなと思うものもありました。

ということで、私はこれからも情報提供を続けようと思います。今回は「糖質」について「多糖類」から続きをお話ししてゆこうと思います。

多糖類

多糖類とは、単糖類やその誘導体が重合した高分子化合物です。単糖類の構成によって分別がされていて、単一の単糖類によるものは「ホモ多糖」といわれ、デンプン・グリコーゲン・セルロース・イヌリンなどがあります。また、2種類以上の単糖や誘導体からなるものを「ヘテロ多糖」と呼び、ムコ多糖体・ヒアルロン酸などがあります。

多糖類のうち、セルロースだけは特殊でヒトの消化酵素では消化されないという特徴があります。腸内細菌がもっているセルラーぜによってのみ加水分解され、このときの生じるグルコースのごく一部をヒトが吸収・利用するという形になっています。大部分は消化されずに排泄されます。

糖質の吸収

口内に入ったデンプンやグリコーゲンなどの多糖類は、唾液腺アミラーゼの作用によって部分的消化がされます。糖質は食道や胃では何も作用を受けることなく小腸までゆき、膵アミラーゼの作用によって腸管内消化が行われます。糖質の消化に胃があまり関与していないことは、胃が悪い人が糖質依存傾向にあることと関係があるだろうといわれています。つまり、糖質の消化は胃を使わなくて済むので胃への負担が軽減出来るからです。また、入れ歯などが合わずによく咀嚼できない方が胃もたれ等の症状を訴える場合、そもそも消化不良が起きていることも考えられます。

腸管内に二糖類加水分解酵素が分泌され、マルトース・ラクトース・スクロースが分解されます。そして、それらによって生じた単糖類が粘膜細胞より吸収されて門脈血中に入り肝臓へと向かいます。小腸上皮細胞膜にはキャリアータンパクが存在します。ブドウ糖が微絨毛の細胞膜で吸収される際にはNaイオンが移動する時のエネルギーが利用されるATP依存の能動輸送です。ATPが生成できていなければ、吸収力も弱まるということです。もしかすると、糖質制限をされたマウスはエネルギーを断たれた為に消化吸収力が弱まり、老化が早まったのかもしれませんね。