糖質

砂糖

「食後すぐの歯磨きは歯によくない」ということが話題になったことを思い出します。

先日、とある農業関係の新聞に「糖質制限は60代後半で老化が顕著になる」という記事が出ました。そのことで「糖質制限はよくないのでは?」「極端な食事スタイルは健康維持に有益ではない」などの議論が巻き起こりました。

しかし、これはどうやらマウスによる実験だったようで、主食も違えば消化の過程も異なるであろうマウスとヒトの比較がされていることに疑問を持った方も多かったのではないかと思います。一方で、厚生労働省の食事摂取基準に引用されている文献は全てヒトの研究によるもので、さすがだと言わざるを得ないなと思いました。

なぜこの結果をわざわざ人間に当てはめたのか?当てはめていいと思ったのか?が分からない(実は見当はついています)というようなお話しでした。

この実験では、ビタミンとミネラルはコントロール群と実験群で同じ量を与えたそうなのです。しかし、そもそもヒトはビタミンCは体内で作れないのに対し、マウスは体内でビタミンCを合成出来ます。日本人の有病率を反映した実験群だったのかも不明です。一般的な日本人の食事と糖質制限食を与えた場合のそれぞれの反応を比べたようなのですが、日本国民の中であってさえも、年代でも地域でももはや何を指して一般的というのかが分からないような多種多様な食習慣になっています。

これらのような実験をする場合は、その比較対象を絞らなくてはいけないので私が上述した条件はそもそも検討されないものかもしれません。それは実験としては正しいかもしれませんが、そうであるならば余計に人への解釈の応用もまだ行なってはいけない段階の実験だったということでもあります。

これらを以て、「誤った食生活を見直すきっかけにしてほしい」とまとめていたようですが、この結論を持ってくるのであればもう少し実験方法の厳格化がされるべきだったのではないかと思われます。とても優秀な研究者の方々が、このようなことを例えば”売名行為”以外で行うのであれば、内容・発表の早さなど何か裏があるのではないかと勘ぐってしまいたくなります。

一方、医学誌の「ランセット」では「炭水化物の摂取増加で死亡リスクが上昇する」という記事が出たばかりです。しかし、残念ながら今回の騒動よりも盛り上がりませんでした。ただ、世界的にはこちらの考えが見直されてきている中で、このような形で糖質制限が広く知られたことに、推奨して懸命に広めようとしている先生方の苦労が思い浮かびました。

さて、たまたま話題になっていたので触れてみましたが、今回はこの「糖質」についてお話ししてゆこうと思います。
歯科においても、1800年代に糖質の摂取が増えてから急に現代のような虫歯の多発がみられるようになったことから、避けては通れないお話だと思われます。

そもそも糖質とは

糖質とは、タンパク質・脂質と並んで3大栄養素と呼ばれるものです。なぜこの3つだけがこのような呼ばれ方をしているのかというと、これらがATP(アデノシン三リン酸)を合成することから由来しています。ATPは全ての生体反応を起こすためのエネルギー源となる物質で、非常に重要な役割を持っています。栄養療法も雑な言い方をしてしまえば、このATPを正常に回すことを目的とし、それを達成することで身体の各臓器が正常に機能して病態の改善を図るというものです。

この糖質ですが、米やパンなど私たちが主食として認識しているものの多くがこれにあたります。これらの主成分はデンプンです。デンプンは高分子化合物で、消化管を進んでゆく過程で加水分解され、マルトースからグルコースとなって体内に吸収されます。

一般式ではCm(H​2​O)​n​と表されるように、炭素・水素・酸素からなり3個以上の炭素原子を含み、少なくとも-OH基を1個以上もつ分子です。

糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを発生させます。そして、その運用はほとんどの生物で利用されています。拡散・糖脂質・糖蛋白質などの構成成分であり、ブドウ糖の形で0.07%ほど血中にも存在し、グリコーゲンの形で肝臓や筋肉にも貯蔵されるなど、重要な生理作用を果たしています。

糖質の種類

糖質には「単糖類」「二糖類」「多糖類」などの種類があります。それぞれの特徴は

1:単糖類
単糖類には「グルコース」「ガラクトース」「フルクトース」などがあります。

1個のカルボニル基(アルデヒド基もしくはケトン基)と数個のヒドロキシル基を持ちます。アルデヒド基をもつものを「アルドース」と呼び、グルコースやガラクトースがこれに含まれます。また、ケトン基を持つものを「ケトース」と呼び、フルクトースが含まれます。

2:二糖類
二糖類は単糖類が2分子が結合して水(H​2​O)を生じさせます。この結合部位はヒドロキシル基がエーテル結合していて、とくにグリコシド結合と呼ばれます。これらはα-グルコース同士、β-グルコース同士の結合でそれぞれα(もしくはβ)グリコシド結合と呼びます。これらの結合は希酸や酵素により加水分解されます。これらのことより二糖類は水によく溶け甘みがしっかりあるものが多いです。

単糖類、二糖類などの少糖類の総称をオリゴ糖といい、このオリゴ糖の他に果糖、フルクトースの過剰摂取で高血圧・高インスリン血症、高TG血症、インスリン感受性低下、内臓脂肪などが生じるといわれています。

3:多糖類
多糖類以降は、次の記事に続きをお話ししてゆこうと思います。