血糖値 その2

インスリン

ヒトの身体において、その機能はいかなるものであっても様々な相互作用を行いながら、その恒常性を保っています。血糖値も例外ではなく、ホルモンや自律神経など様々な調節機構により、その恒常性を保っています。

血糖値は、血中のグルコースの量のことを指します。また、グルコースは炭水化物の最小単位でもあります。この最小単位のものを単糖と呼びますが、グルコースお他にもいくつか種類があります。これらは胃での分解はほとんど行われることがなく、その多くは小腸で吸収されたのちに肝臓へ向かい、そこでグルコースに変換されて血液に入り濃度変化を受けながら細胞に取り込まれATP合成の基質として使われます。

また、十二指腸で吸収されたグルコースは、腸間膜静脈を通り、門脈から肝臓に入る際に約50%が吸収され、残りは心臓から動脈に入り全身に運ばれます。この時に糖の量を感知・調節するのが膵臓と視床下部だといわれています。

一般的によく使われる「インスリン抵抗性を示す」という状態は、様々な原因によりインスリンが充分に作用出来ず、細胞内へのグルコースの取り込みが悪くなっている状態のことをいいます。身体反応としては細胞内へのグルコースの取り込みが落ちるということは、インスリンの不足であると判断されますので、膵臓からより多くのインスリンを分泌するようになります。

これら生体内に取り込まれたグルコースを調整するために、

1:肝臓
2:膵臓
3:視床下部

が大きく関与します。

肝臓による血糖調節

肝臓はインスリン非依存性にグルコースの取り込みを行います。血糖値が高くなるとグルコースを取り込み、グリコーゲンや脂肪の形で蓄えます。

肝臓はグルコースをグリコーゲンに変換する酵素を持ち、血糖値の高い状態の時に蓄える働きをします。また、この蓄えたグリコーゲンは睡眠時中などの血糖値の下降する状況においてグルコースに戻して糖新生を行うことで恒常性を保とうとします。

糖新生とは

糖新生とは血中のグルコースを供給する方法です。この糖新生には主に3つの生成方法があります。

1:アミノ酸からの糖新生
絶食時に行われる糖新生のおよそ50%を占める大事な経路です。

2:脂肪からの糖新生
脂肪は分解されるとグリセロールと脂肪酸になります。乳酸脱水素酵素の活性不良などによりピルビン酸を経てブドウ糖が作られることによって生じます。

3:ブドウ糖分解産物がグルコースに再合成されることによって生じます。

膵臓による血糖調節

膵臓のランゲルハンス島とよばれるところのβ細胞からインスリンが血液中に分泌されることによって血糖値を下げる働きをします。

インスリンは体内で産生されるものとしては唯一血糖値を下げる作用を有するホルモンです。このインスリンが細胞膜の受容体に作用するとグルコースの細胞膜透過性の亢進が生じ、細胞内にグルコースを流入させることによって血中のグルコースを減らします。その作用は副交感神経支配時に促進されます。

この量を調節するものの一つとして、受容体の数の違いがあります。一つの細胞につき最小では40前後のレセプターを有するものから、脂肪細胞や肝細胞のように20〜30万という数のレセプターを有するものもあります。とくに脂肪細胞や肝細胞はその数が多く、インスリンの作用機序から考えても脂肪を蓄えやすい組織であるといえます。このレセプターの数は運動によって増えたり、ビタミンCの摂取で感度が上昇することもあります。

インスリンについて

膵臓から分泌されたばかりのインスリンは別名でCペプタイド(プレインスリン)と呼ばれることもあります。このCペプタイドは結合も代謝もされていないので、その数を正確に測ることができるため、空腹時Cペプタイドを計測することもあります。この際、1.7μU/mlを下回るとインスリンの分泌が少ないと考えるときがあります。

インスリンの分泌には基礎分泌と追加分泌があり、通常時にも一定量の分泌がされていますが、食事の際には分泌が促されるなどの繰り返しが行われます。この分泌されたインスリンは肝臓通過時に50%ほどが吸収され分解の作用を受けます。残りの50%は血液中を循環するものとして肝臓を通過しますが、この時の半減期はおよそ5分程度であるといわれています。

視床下部による血糖調節

各臓器によってインスリンの働き方が異なりますが、脳はインスリン非依存的にグルコースの吸収を調整しています。グルコース(ブドウ糖)の細胞内への取り込み方も他の臓器と異なり、特に脳の場合はグルコースは40秒ほどで消費してしまい蓄えることが出来ないことから、絶えず適切な濃度を脳へ供給し続ける仕組みがあります。

脳において血糖値を恒常的に保つ作用は非常に複雑で、脳の機能を守るために自律神経とホルモンが働きます。