頭蓋底・上顎骨・下顎骨の成長

頭蓋底の成長

頭蓋底の骨は初めに軟骨として形成され、その後に内軟骨性骨化によって骨に置き換わります。骨化中心は胎生初期の軟骨性と頭蓋に出現します。これらの骨化中心が後頭骨・蝶形骨・篩骨の元になります。骨化が進行すると軟骨結合と呼ばれる軟骨組織の帯が骨化中心の間に残ります。これら軟骨結合には、蝶形骨と後頭骨の間の蝶後頭軟骨結合、蝶形骨体の前部と体部をつなぐ蝶形間軟骨結合、蝶形骨と篩骨の間の蝶篩軟骨結合などがあります。軟骨結合は両側性の骨端板のような形状をしていて、未成熟な増殖中の軟骨細胞が中央に位置しています。そして、成熟した軟骨細胞が中央部から両方向へ向かい両端で内軟骨性骨化が生じます。この頭蓋底を構成する骨は四肢骨とは違い、可動性に富む関節がみられることはなく、接合部は非可動となっています。頭蓋顔面骨の中で唯一の例外として下顎骨のみ可動性の接合部を持ちます。

頭蓋より下の骨の成長

上顎骨の成長

上顎骨は出生後に膜内骨化によって形成されます。このことは、インプラント治療の際に長骨から移植した骨が骨内骨化をする性質を持つ場合に、移植が成立しなかった事例が報告されたため一般的にも認知度が上がりました。上顎骨は軟骨性の置換は生じず、上顎骨が頭蓋や頭蓋底と接している縫合部での骨の付加と、骨の表面で生じるリモデリングによって成長します。顔の成長は一般的には頭蓋底の下部から外方へ向かって成長するものであり、このことは上顎骨の成長では頭蓋・頭蓋底に対し前下方へ相当量の移動をしなくてはいけないということになります。この時、上顎骨の後方と上方では望ましい位置に縫合部があり、前下方への移動の際に生じる空隙に骨の増殖が行われます。縫合は同じ幅を保ち、上顎骨に存在する多くの突起が伸びてきます。骨の両端で骨の添加が生じるので上顎骨が接する骨組織も大きくなります。上顎骨の後方限界は上顎結節において自由表面となっています。この部位に骨が付加されることにより新たにスペースが出来、そのスペースに向かい乳臼歯、大臼歯と順に萌出します。

上顎骨が前方に成長するに従い、前方の表面ではリモデリングが生じます。この際のリモデリングは主に骨の吸収が中心となって生じます。上顎骨ほ前表面全域に渡って、前下方へ移動しながらその表面では吸収が起こります。これは、2つの全く異なる過程が同時進行しているために生じます。成長による全体的な変化は、前下方への移動と骨表面のリモデリングです。リモデリングは移動方向とは逆の方向へ吸収を促すだけではなく、たとえば口蓋のような部位では同一方向で起こる部位もあります。口蓋の鼻腔側では吸収が起こり、口蓋側では骨の添加が生じます。その結果、口蓋は下方へ移動します。それと同時に歯槽突起の前方部では骨吸収が起き前方部への移動を相殺するようになります。

下顎骨の成長

下顎骨は内軟骨生骨化と骨膜での骨化が生じます。下顎骨の成長パターンは頭蓋を基準に考えた場合、オトガイは前下方へ移動します。生体染色法によつ実験データでは下顎骨の前方部ではほとんど変化がみられず、下顎枝の後縁表面と下顎頭と筋突起が主な成長部位であることが明らかになっています。下顎骨がその長さを増すに従い、オトガイは前下方に平行移動されます。

下顎骨体部は後方表面の骨膜性の骨組織の添加により長さを増します。下顎枝は下顎頭部の内軟骨性骨化と表面のリモデリングによって伸びます。前下方への平行移動については下顎骨を包む軟組織とともに起こります。下顎枝後縁の骨の添加と同時に、前縁では吸収が起きます。これらの作用により、全体的には下顎骨体は 長さを増すような形になります。その結果、オトガイが下顎枝から遠ざかるような成長パターンにみえます。オトガイには成長中心がないので間質的成長も起こり得ないと考えられています。

幼児期には第一乳臼歯の萌出予定部位の所には下顎枝が存在します。下顎枝後縁のリモデリングが進行してゆくにつれ第二乳臼歯、大臼歯が萌出する場所がつくられます。しかし、親知らず(第三大臼歯)が作られる前に成長が終わってしまうので、しばしば親知らずは埋伏することがあります。