根管治療とは

抜歯してインプラントになる前の救世主

近年のインプラントの普及により、中にはレントゲンで歯根の先端に軽度の透過像が見られるだけでも抜歯をしてインプラントにするべきだという意見が少なからず支持を得ている。その支持者の意見では、病巣の見られる歯よりもインプラントの方が予知性が高いので、骨を保護するために予防的に歯を抜いて良好な骨にインプラントを植えるべきであるとの見解のようです。

そもそも歯の代用品であったはずのインプラントが、歯を抜くための口実となってしまったことは非常に残念なことです。これは、歯科医院の過剰やインプラントに携わる診療科が多岐にわたることなどが原因の一つになっているようです。特にインプラントに関しては口腔外科・補綴科・歯周病科・インプラント科などが多く取り扱っており、根の治療をする歯内療法の専門家はあまり携わっていないのが現状です。

根管治療とは

一般診療を日々行なっている歯科医師や、歯内療法に長けている歯科医師にとっては、この早期抜歯の診断については信じ難いはずだと思います。なぜなら、その程度の病巣であれば、多くの治癒を当然のように見てきているからです。インプラントを専門で行なっている者のうちで、早期抜歯のような意見を唱える者に対して、歯内療法の診断レベルからの技量や、一般診療についての力量にまで疑問を感じてしまいかねない意見です。

「先生によって意見が違う」という言葉をよく耳にしますが、歯科学が科学の一端であろうとするならば、個人の見解よりも誰もが共通して同一の診断を下せる環境(教育・診断基準)作りを急ぐ必要があるかと思います。

少なくとも、我々専門家が考えている以上に近代歯内療法の成功率は低くありません。30年ほど前のある調査でさえも、根管治療の治癒率の平均は86%、根尖病巣の存在していたグループは93%、病変が存在していたグループでさえ82%の成功率だといわれている。(ただし、初回の根の治療成績)

根管治療では何をするのか

根管治療では主に歯髄のあったスペースの清掃を行います。虫歯のように回転式切削器具が到達しやすい場所では機械を使って除去します。しかし、根の中は筒状になっている上に先端に外部と繋がっている穴があります。内部の形状も非常に複雑なため、機械による感染部分の除去が困難です。従って、ファイルやリーマーと呼ばれる器具を使って感染を除去します。最近見かけるNiTiロータリーファイルという器具ですが、これは本来、根管形成ということに使われるもので、その形成途中でたまたま感染歯質や残存歯髄の除去もできるのかもしれませんが、本来の用途ではありません。

歯髄は歯冠相当部分の髄室、歯根相当部分の髄管という構造をとり、その全てに歯髄という組織を満たしています。これか虫歯などの細菌に感染することで、変性・壊死を起こし腐敗します。この状態になった歯髄を除去し、さらに感染してしまった歯髄腔内部の歯質を除去・洗浄することで内部を無菌に近づけます。そうすることで根尖孔から出る細菌を抑制し歯周組織の免疫力により根尖病変の治癒を目指す治療です。