知覚過敏

知覚過敏について

ホワイトニングの禁忌症 ~知覚過敏~ではホワイトニングの際に禁忌症として知覚過敏についてお話しさせて頂きました。

知覚過敏

この記事ではホワイトニングの術前での注意として書きましたけれども、ホワイトニング治療後にも知覚過敏を生じることがあります。その他にも、虫歯の治療の後にも、歯周病の治療の後にも知覚過敏が生じる場合があります。せっかく治療が上手くいっても、知覚過敏が生じてしまうとなかなか喜びきれないものです。そこで今回は、この知覚過敏について、どのような症状か?その病態はどうなのか?治療方法は?などのお話をしてゆこうと思います。

歯周治療後の知覚過敏

歯周病の治療の際に、スケーリングやルートプレーニングを行うことは一般的にとても多いです。それらは、歯に付着したプラークや歯石を超音波スケーラーや手用スケーラーを使って除去することをいいます。この治療が原因となって知覚過敏が生じるというのであれば、これらの治療は今日これほどには普及しなかったと思われます。また、適応した全ての歯に知覚過敏が生じる訳ではないこと、ホワイトニングや虫歯の治療でも知覚過敏が生じる場合があることを考えますと、歯自体にも原因があるのではないかと思われます。しかしながら、スケーリングやルートプレーニングを伴う歯周治療の後に、温度、浸透性、化学物質、機械的刺激に対して歯の知覚が亢進することはよく見かけることです。これらの兆候は通常は一週間目がピークになり、その後に消退してゆきます。まれにそのまま知覚過敏が持続したり、さらに酷くなることもあります。おそらくは、一週間ほどの知覚過敏と、その他の場合の知覚過敏とでは根本的に作用しているものが違う可能性があり、実際に私は両者に異なるアプローチをして改善をしてきています。

また、痛みの持続時間は長いこともあれば短いこともありますし、1本だけの時もあれば複数にまたがる時もあります。痛む時があれば痛まない時もあり、歯根象牙質を擦過するだけで疼痛を生じることもあります。歯内療法学的な見方をしますと、温刺激、冷刺激などは歯髄の病態を正確に表してはおらず、その正誤率は40%程度ともいわれています。また、痛みの訴えに対しては術者の解釈が入り、その程度と表現の不一致は起こり得るものと考えた方が無難です。症状の訴えに関しては、痛みの有無のみを参考にし、患歯の決定や痛みの程度に関しては客観的事実を重ねてゆかねば、本来は残せたかもしれない歯髄組織を除去してしまうことになり兼ねないです。いずれにしましても、この不快な症状は時に口腔清掃の遂行も妨げることになりますので、その後に起こる病態を考慮して対処してゆくことが大事になってきます。

知覚過敏の病態

知覚過敏の病因やメカニズムについては古くから議論されてきているようです。それでもいまだに議論の余地が十分にあります。私の場合、学生時代には
動水力学説や自由神経終末説などを教わりました。海外では歯髄と象牙質は連続性のあるものだという認識があり、歯髄-象牙質複合体という概念が広まっています。この観点より、知覚過敏の兆候は、露出した象牙細管を通じて侵入してきた口腔内の細菌産物により引き起こされた限局性の歯髄の炎症性変化と関係があると考えられています。そして、炎症反応は歯髄の影響部位の感覚受容器の疼痛閾値を低下させます。この時の感覚受容器は刺激に対して反応が強く、伝達が速いという特徴を持っています。これらは無感覚の露出象牙質において、その表層の細管開口部に無機物質が沈着しているということを根拠としています。

知覚過敏の治療

知覚過敏の様々な状態によって、その対処法は選択されなければなりません。歯髄の状態を考慮するとはもちろん、症状の軽重に対して相応する治療方法を選択するということも重要なことです。軽度の知覚過敏や、歯髄充血の際の知覚過敏に対して抜髄処置はほとんどの場合、オーバートリートメントであると考えられます。

知覚過敏の場合には、多くは第一選択に対処療法が行われます。しかし、現在行われている治療方法が常に有効であるとは限りません。これまで多種にわたる多くの治療方法が推奨されてきていますけれども、残念ながらどの治療方法も確実に予測できる治療効果を得られません。このことは知覚過敏の病態が上述したものよりも多くの要因が複雑に絡んでいる可能性を示唆しているように思えます。

中・長期的には入念にプラークコントロールを行うことで知覚過敏を減少させることが可能です。適切な口腔衛生方法を行うことで、時間経過とともに強固で滑沢な無知覚の歯根表面になることが臨床的に観察されます。電子顕微鏡所見でも、これらの象牙細管開口部には無機質の沈着が生じることが明らかになっています。この時期に適切にプラークコントロールがされていなければ、プラーク下の酸素分圧の低下による酸性度の上昇や、酸産生細菌による酸の放出により象牙細管開口部付近の管周象牙質ほ菲薄化が生じ、より多くの刺激に暴露されやすい状況を作ることになります。

短期的に知覚過敏を減少させる場合、人工的に薬剤を使って象牙細管開口部を封鎖する処置をとります。また、これまで述べた象牙細管開口部に対する処置の他に、自由神経終末に対するアプローチをとることも有効な場合があります。いずれにしましても、これらの処置が奏効しない絶望的な症例については抜髄処置が唯一残された治療方法となります。