インプラント周囲炎について

歯やインプラントのように唾液に触れる表面にはバイオフィルムが形成されます。細菌に汚染されると、生体は防御機構として軟組織に炎症反応を生じます。これにより、通常の歯周組織では歯肉炎と呼ばれる状態になります。また、インプラント周囲粘膜に起きる場合にはインプラント周囲歯肉炎と呼ばれる状態になります。インプラント周囲歯肉炎から波及するかは定かではありませんけれども、インプラント周囲歯肉炎の症状に加えて支持骨に悪影響を及ぼすインプラント周囲炎というものがあります。

インプラント周囲炎など
インプラント頚部での骨の支持が喪失しても、インプラント体全体における大部分はオッセオインテグレーションの存続がみられるため、結果的に臨床的な安全性は維持されます。このことがインプラント周囲炎独特の病態である骨の支持の喪失は生じるが動揺はみられないといった状態が起きます。そのため、インプラント周囲の骨の喪失に気がつかず、気づけば重篤な被害になっているということがしばしばみられます。インプラント周囲組織に感染が進んでいることを敏感に、しかも確実に知るための検査方法はbleeding on probing と probing depth とX線像になります。インプラント長期的に快適に機能させるためには、適切な診断に基づいて定期的なメインテナンスが重要であり、これには Cumulative interceptive Supportive Therapyが提案されています。

科学的根拠

全てのインプラントには力学的偶発症の危険性が伴います。しかし、力学的偶発症のほとんどは生物学的要因というよりも技術的要因によって生じるということが複数の報告書でいわれています。ただ、咬合力の過重負担によるオッセオインテグレーションの消失してゆく過程のメカニズムについてはまだ解明されていません。インプラントの生存率については多くの前向きコホートと後ろ向きコホートの研究が行われ、後期の失敗について述べられています。それらの調査により次の提言がされています。

・凡ゆるインプラントシステムにおいて5〜8年間の成功率はほとんど変わらない
・後期失敗の主な原因はインプラント周囲の感染による
・長期的な結果ではプラークコントロールの良好な患者ほどインプラントの生存率が長い
・インプラント周りのプラークコントロールが良ければ付着歯肉幅は関係ない
・インプラントの長さによる成功の違いには差がなかった

これらの結果を見ると、のちに生じる偶発症の原因や病因、診断・予防・管理に対する慎重な検討をするための科学的な根拠が確立される必要があると思われます。